カルチャーとしてのファック

fuck という言葉はその字体としての美しさに加えて、実に多様な使い方ができることが知られている。 実際、fuck は意味的な側面からも品詞的な側面からも多様である。 名詞、代名詞、形容詞、副詞、動詞になりえ、それぞれの形態に応じた多くの意味を持つ。

 もともとは、英語の卑猥なFワードとして使われていたこの単語も、今では、英語という箱庭を飛び出し、その他の自然言語にも取り入れられるようになった。現に、日本でもtwitterなどで、元来の記法であるfuckであったり、ファックといったような表現によって使われているのが容易に観察できる。

  いうなれば、fuck は言語に従属する一単語という存在から、多岐にわたるの自然言語にその概念を投影する"文化"へと姿をかえてきたということである。 これは、文化・民族性といったものに影響を受けやすい自然言語群の一要素として極めて珍しいことであるのは言うまでもない。本来文化の従属的存在であるはずの自然言語のさらにその一要素が、従属関係を飛び越えてドメインを再定義したということだ。

 とどのつまり、相異なる自然言語を包括的に再定義したこの言葉をしることは、言語という枠組みのそのさらに上にある何かを見つけることであるといえる。